ハンコ、ペタペタの巻。

　蔵書印って有りますよね。書籍のどっかへ（主として最後の見返しの処）へペタッて押して、この本は、私の物ですよって、必要以上にアピールするやつです。

古本屋にとって、作家や文化人・著名人等の印で有る事が判れば、それはそれで押された書籍に箔が付くってもんなんですが、市井の方々が自分が買ってきた本に矢鱈とぺたぺた押して有るってのは、少々困る場合が多いんですね。

以前、買取にお伺いしたお宅に、名前を彫られた篆刻がゴロゴロ出てきた事が有りました。蔵書の持ち主はお亡くなりになられておりましたが、ご家族の話では「篆刻が好きで、自分以外にも家族・親類の物まで作り、自分の印は辺りかまわず何にでも押すんで困ってました」なんてお聞きました。案の定、書籍にもデカデカと押して有りました。

又、あるお宅では全ての本の奇数ページに蔵書印が押してたなんて事も。これまたご家族のお話で「本を買って帰ると、一日中部屋に籠って嬉しそうにペタペタしてました」なんておっしゃってました。

どうも人類の中には、ハンコを持つと押さずには居られないって人種が存在する様です。つまんない保証人の印を押しちゃうって人は、そんな人種なのかも知れません。ご家族・縁者の方々は、そんな人には決してハンコを持たせちゃいけませんね。さて、今日の一句。

　　　　　　　　　　　　　　　　寄せ鍋や　議論もやがて　煮詰まりて

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